研究
研究室紹介

バイオの力で社会を変えていくプロ集団

微生物や植物、動物が持つ能力を生体分子や細胞・組織レベルで解明し、そのメカニズムや仕組みを社会に役立てていくのがバイオテクノロジー。そのためには、「生物を探す」「細胞をつくる」「分析する」「細胞を見る」「情報を知る」「遺伝子をあやつる」「技術として使う」という各プロセスが欠かせません。こうした専門的な研究に取り組んでいるのが、「基幹講座」と「協力講座」の12の研究室。バイオのスペシャリストであるプロ集団が、最先端の研究に取り組みつつ、次世代を担うバイオエンジニアを育成しています。

基幹講座

福﨑研究室
  • 生物資源工学研究室

    福﨑研究室 福﨑研究室
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  • 『生物資源工学』とは、バイオの力を探索することに始まり、実社会に役立てるための手法・技術を見つけ出し、応用に結び付けていくための学問です。その研究対象は幅広く、病気の研究、植物の研究、微生物によるモノづくりの研究、発酵微生物の研究などを挙げることができます。中でも注目しているのが、バイオの力を食品産業に役立てる研究。おいしさや品質はそのままに、常温でも輸送や保存ができる品種を開発すれば、食品の流通コストを大きく削減した全く新しい物流システムの構築が実現します。世界の食品物流の仕組みを根底から変え、食料問題を一気に解決に導く可能性がバイオ研究には秘められているのです。バイオの力で世界を1つひとつ変えていく。そんな研究をリードする国際的リーダーとなる人材の育成にも取り組んでいます。

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渡邉研究室
  • 生命環境システム工学研究室

    渡邉研究室 渡邉研究室
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  • さまざまな環境問題と生態系との関係性をゲノムレベルで解明、理解する研究をしています。生態系が持つメカニズムを解き明かす上で大きな役割を担っているのが、ミジンコです。淡水生態系の食物連鎖で中心的な役割を担うミジンコは、環境変化のバロメーターと言える存在。環境の変化に最も敏感であり、ミジンコの環境応答をゲノムレベルで解明することが、生態系を理解する重要なステップであると考えています。当研究室では、世界初となるミジンコの遺伝子操作技術開発に成功し環境応答の解析に取り組んでいる他、より高効率で簡単な遺伝子編集技術の開発も行っています。ミジンコが持つ環境センサーのメカニズム解析は、高感度のバイオセンサーとして工学分野に応用することが期待されているなど、環境問題の解決を目指してユニークで幅広い研究を行っている研究室です。

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内山研究室
  • 高分子バイオテクノロジー研究室

    内山研究室 内山研究室
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  • 私たちは品質管理に深くかかわる研究をしています。バイオテクノロジーによって作られたバイオ医薬品、遺伝子治療製品や食品が、温度の変化や時間の経過、衝撃や酸化、光の影響を受けて品質変化しているかを体系的に解明、より良いものづくりのための研究です。分析から得た結果に基づいて品質を維持するための方法や手段を見つけ出し、医薬品や食品の高品質化と安全性向上に貢献しています。世界トップレベルの蛋白質物性研究の実績とノウハウ、そして最先端の計測機器がそろっており、生体高分子の物性を詳細かつ正確に解析できる点が大きな強みです。バイオナノ粒子の質量、大きさ、分子量、を正確に測定する装置とノウハウが充実し、国内唯一の装置も少なくありません。卒業生の多くが製薬企業でバイオ計測を生かした研究に取り組んでいます。

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村中研究室
  • 細胞工学研究室

    村中研究室 村中研究室
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  • 植物には、多数の化学成分を作り出す不思議な力があります。その仕組みを解き明かし、健康や食料、環境に役立つものへと作り変えていく植物バイオテクノロジー研究を行っています。当研究室では、植物の「代謝」を理解することにより、酵母などの微生物を使ったモノづくりや、ゲノム編集技術による有用作物の創出研究に注力しています。たとえば漢方薬に欠かせない生薬・甘草の薬効成分の酵母での生産に成功した他、保存中に芽が伸びないジャガイモの開発に取り組んでおり、その研究成果が、医薬品や機能性食品原料の生産、食料問題・環境問題の解決につながることが期待されています。工学領域の研究でありながら、農業領域との関りも深く、アグリバイオ関連研究機関との連携を図った研究活動を行っている点が特徴です。持続可能な社会づくりのために、工学でアグリバイオに貢献することを目指して、幅広い研究を行っています。

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紀ノ岡研究室
  • 生物プロセスシステム工学研究室

    紀ノ岡研究室 紀ノ岡研究室
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  • 工業製品とは違って、細胞はとても不安定なものです。同じ細胞でも培養する時に受ける衝撃の大きさによって、まったく違うものになってしまいます。これまでは熟練の技術を持つ人の手でなければ、目的とした細胞を作ることができませんでした。ですが、これでは多くの細胞を低コストで作ることができません。人の技術や力量に頼っていた細胞生産を、誰でも同じものができるよう機械で作る方法を確立していくのが、生物プロセスシステム工学です。モーションセンサーを使って培養中の細胞に加わる衝撃や加速度をデータ化して管理し、目的とする細胞が常に安定的に安価に作れるようにするのが研究の目的。中でも注力しているのが、再生医療に資する細胞製造の研究です。iPS細胞を含む幹細胞からの分化制御や装置開発に取り組み、再生医療の未来を切り拓いていく研究に取り組んでいます。

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大政研究室
  • 生物化学工学研究室

    大政研究室 大政研究室
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  • 『生物化学工学(Biochemical Engineering)』は、化学工学の方法論と考え方を、生物を用いたバイオプロセスに応用し、これを利用する学問分野です。本分野は、1965年に合葉先生(本学名誉教授)と、Prof. Humphrey、Prof. Millisによって世界初の教科書Biochemical Engineeringが出版されたことによって体系化され、日本が世界をリードする分野でもあります。私たちの研究室は産業生物化学工学を視点として、生物反応を産業応用するための研究をおこなっています。対象とするバイオプロセスとしては、抗体医薬やワクチン、遺伝子治療用ベクターや細胞治療製品等、そして微生物やそれを用いた産業応用酵素生産を目的とした、動物細胞、微生物細胞のセルエンジニアリングならびにその培養、さらには分離精製を含むダウンストリームまでを対象としています。例えば、私たちの研究室では、動物細胞を用いたバイオ医薬品(抗体医薬やワクチン等)生産の研究をしていますが、薬そのものを作ることが目的ではありません。動物細胞にバイオ医薬品を作ってもらうには、動物細胞自身の理解(細胞の設計図のゲノムや代謝、分泌など)とそのエンジニアリングが欠かせません。医薬品生産の他にも、原始地球環境と似た極限環境(酸素のない80℃以上の高温)で生育する超好熱菌由来の産業用酵素の蛋白質研究にも取り組み、卒業生の多くが化学、食品、医薬品業界で活躍しています。

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青木研究室
  • 微生物機能工学研究室

    青木研究室 青木研究室
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  • 私達の研究室では、オミックス科学や機械学習を統合したデータ駆動型サイエンスを基盤とし、極めて多様な機能を持つ微生物に着目して、革新的バイオテクノロジーの創出を目指しています。これまでに、持続可能な作物生産を可能とする微生物群集の解析・サンゴ礁保全に資する微生物の解析・次世代マイクロ抗体スクリーニング技術の開発・人工リボソームの創出などを実現してきました。これらの技術を社会実装することで、持続可能な未来を創り上げたいと考えています。

Coming soon

協力講座

藤山研究室
  • 応用微生物学研究室
    (生物工学国際交流センター)

    藤山研究室 藤山研究室
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  • 私たちは、様々な生物、微生物(酵母)、昆虫(カイコ)、植物(タバコ)、哺乳類細胞を生産工場として捉え、ワクチン、抗体などの医療用タンパク質生産技術の開発を行っています。カイコは、その絹タンパク質を高生産する能力を組み換えることで、タンパク質生産への活用が可能です。一方、植物生産はヒト感染性のある物質(ウィルスなど)の混入を懸念することのない点に優れています。また、SDGs社会を目指して東南アジアの大学研究者と協働し、酵母を使うバイオディーゼルの生産にも取り組んでいます。タイの大学に設置した研究室で研修に参加できる機会も設け、国際舞台で活躍する人材の育成にも注力しています。

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本田研究室
  • 分子微生物学研究室
    (生物工学国際交流センター)

    本田研究室 本田研究室
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  • 微生物が持つ特殊な機能に注目し、これらを人為的に組み合わせて新しい生体機能を創り出す研究に取り組んでいます。なかでも着目しているのが、高温環境下や強酸性・強アルカリ性環境下などの過酷な環境で生育する微生物の機能。例えば、高温にも耐える好熱菌の遺伝子を使って有用物質を生産すれば、必要のない副反応を熱で不活化し、収率100%のモノづくりが可能になります。生産効率を飛躍的に高め、低コストで大量に有用物質を作り出せる技術であり、産業的利用価値の高い研究です。化石燃料を原料としたモノづくりを植物原料に置き換えたり、天然にはない有用物質を生み出すことも実現できます。また、アジア、ヨーロッパをはじめとする海外の大学との国際交流も行っており、国際的に活躍できるバイオエンジニアの育成にも力を入れている研究室です。

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清水研究室
  • 代謝情報工学研究室
    (情報科学研究科)

    清水研究室 清水研究室
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  • 微生物の代謝の力を使ってモノづくり(生産)の研究をしています。効率よく生産するには細胞内の代謝の流れ(代謝フラックス)を改良する必要があります。異なる生物の遺伝子を導入したり、必要のない遺伝子や代謝経路を取り除いたりしながら、代謝フラックスを制御していきます。これまでは人間が考えて行ってきたわけですが、現在では細胞内の情報が細かく解析できるようになり、コンピュータのシミュレーションによる結果の予測が可能となってきました。あらゆる組み合わせのシミュレーションが可能になり、簡単には思いつかない方法を発見できます。細胞の創製に情報科学の力を取り入れた計算機プラットフォームの開発、実験的評価を行っているのが私たちの研究室です。コンピュータによる代謝デザインと代謝フラックス解析法の開発によって、バイオテクノロジーに革新をもたらす研究に取り組んでいます。

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松田研究室
  • バイオ情報計測学研究室
    (情報科学研究科)

    松田研究室 松田研究室
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  • 「バイオ」と「情報」の融合によって、生物・細胞の謎を解き明かしていく研究に取り組んでいます。バイオの力を工業や産業分野に応用して「形あるモノをつくること」をゴールにする工学分野に対して、細胞内の代謝を計測して情報をできるだけ多く集めてデータ化し、そこにある法則やルール、関連性、原因を明らかにするのが私たちの研究目的です。解き明かした法則やルールが正しいものであるかを証明するための実験も行いますが、工学のように「つくるための研究」ではなく、「探すための研究」と言えるでしょう。探し当てた法則やルールが次のモノづくりの種となり、新たな研究が生まれ、バイオ生産や創薬に活かされていくことになります。特定のモノを作るバイオテクノロジーとは一味違う切り口から、バイオの可能性を広げていく研究です。

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栗栖研究室
  • 蛋白質結晶学研究室
    (蛋白質研究所)

    栗栖研究室 栗栖研究室
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  • タンパク質は働く分子と言われ、細胞内のタンパク質の働きによってさまざまな生命機能が発現しています。タンパク質の立体構造を解析すれば、どの部分でどのように働き、どんな生命現象が起こっているのかを紐解くことが可能です。また、タンパク質は単体で機能しているものは少なく、ほとんどは複数のタンパク質が相互に連携し合うことで代謝反応を駆動します。その連携は実に見事であり、無駄のない効率的な連鎖反応が細胞内で行われています。当研究室では、タンパク質の相互作用をNMRやITCで確認しながら、立体構造として解析することで生命機能を3次元で理解する研究に取り組んでいます。タンパク質をより詳しく解析するための装置開発にメーカーと取り組むなど、幅広い活動を行っている研究室です。

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