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現在当研究室では、つぎの3つのテーマを大きな柱として研究を進めております。
1. ゲノム情報を駆使した有用遺伝子探索
2. 合成生物学による有用物質生産
3. 植物におけるゲノム編集技術の開発

研究室紹介パンフレット

1. ゲノム情報を駆使した有用遺伝子探索

植物テルペノイドは医薬品原料として注目されている天然化合物です。ゲノムおよびトランスクリプトーム解析とバイオインフォマティクス技術を活用し、植物テルペノイド生合成に関わる有用遺伝子の同定を行っています。

生薬 甘草 (カンゾウ) の医薬成分「グリチルリチン」生合成経路の解明


多くの漢方薬に用いられる甘草(カンゾウ)に含まれる主要な薬効成分グリチルリチンの生合成を担う重要な酵素を同定しました。また、生化学的な手法により生合成酵素の重要なアミノ酸残基を特定し、反応メカニズムの解明や酵素機能の改変に向けた研究にも取り組んでいます。
- Seki et al. (2008) PNAS, 105, 14204–14209.
- Seki et al. (2011) Plant Cell, 23, 4112–4123.
- Nomura et al. (2019) Plant J, 99, 1127–1143.
- Chung et al. (2020) Nat Commun, 11, 5664.

2. 合成生物学による有用物質生産

植物由来の酵素遺伝子を微生物や植物に導入して生合成経路を再構築し、有用な天然物の生産を目指す合成生物学研究を行っています。特に、植物を活用したバイオものづくり技術の開発に力を入れています。

ゲノム編集カンゾウ毛状根を用いたグリチルリチンの生産


生育が早く、遺伝子改変が容易な組織培養”毛状根”においてゲノム編集系を確立し、遺伝子機能の解析・代謝改変による有用物質生産が可能になりました。
- Chiyo et al. (2024) Plant Cell Physiol, 65, 185-198.
- Sakanishi et al. (2024) Plant Cell Rep, 43, 15.

ベンサミアナタバコの葉における生合成酵素遺伝子の一過的発現による有用物質生産


生育の早いベンサミアナタバコなどの植物を用いた、バイオものづくりプラットフォームの確立を目指しています。
- Romsuk et al. (2024) Plant Biotechnol, 41, 277-288.

3. 植物におけるゲノム編集技術の開発

TALENやCRISPR/Casなどの人工ヌクレアーゼを用いたゲノム編集技術により、植物ゲノムの特定部位に変異を導入することが可能になりました。この技術を活用した植物の代謝経路の改変などを通じ、作物に有用な形質を付与することを目指した研究に取り組んでいます。

ゲノム編集によるソラニンなどの有毒不快味成分の低減したジャガイモの作出


ジャガイモは主に芽の部分にソラニンなどの有毒なステロイドグリコアルカロイド (SGA) を蓄積します。SGA生合成に関わる酵素遺伝子をゲノム編集によってノックアウトすることで、SGAの蓄積量を大幅に低減したジャガイモの作出に成功しました。現在、実用化に向けた野外栽培試験を共同研究で実施するとともに、さまざまな有用形質を持つジャガイモの開発を目指した新たなゲノム編集系統の作出にも取り組んでいます。
- Sawai et al. (2014) Plant Cell, 26, 3763-3774.
- Yasumoto et al. (2019) Plant Biotechnol, 36, 167–173.
- Yasumoto et al. (2020) Plant Biotechnol, 37, 205–211.
- Yasumoto et al. (2024) Plant Biotechnol, 41, 289–293.