安全教育 |
1.講義を始める前に以下のような心構えを話しています。 (1) プロとしての自覚を持つ 広辞苑によれば、「プロフェッショル:専門的、職業的」となっています。諸君は研究を専門的、職業的に行うわけですから「プロ」なのです。プロには「知らなかったから」、「教えてもらっていないから」、「調べるのがめんどうだから」などの言い訳は通用しません。 (2) 自分自身で下調べする。 研究に使用する機器類はプロ用の機器です。アマチュアが使う家庭電化製品とは異なり、いい加減な使い方をしても事故が起こらないような機構になっている保証は全くありません。実験を始める前に、あなた自身が、使用する実験機器や試薬の取扱いについて十分な下調べを行なわなくてはなりません (先輩や先生の使い方が正しいとは限りません)。実験機器を正しく使用し、実験の効率を上げ、精度に注意を払うことは研究者の義務です。 (3) 失敗は報告する。 失敗は過失ですが、失敗を放置したり報告を怠るのは故意であり許されません。また、関係者に危害が及ぶのを知りながら危険な状態を放置するのは立派な犯罪行為です。 2.テキストに読んでもらえる工夫をする (1) 具体的な事例とその理由を載せる 「こうしてはいけない」だけではなく、「こうしないとこう言う事故を起こす」、「そのメカニズムはこれこれだ」というように、事故の実例とそれが起こる理由を具体的に解説する。これは冒頭に述べた通り効果的でした。 (2) 「べからず」だけでなく、実験を失敗せず効率良く行うコツも載せる。 テキストには、安全に実験を行うための注意事項と、実験機器の寿命を縮めないために必要な注意事項だけでなく、実験を効率良く行い、精度を保つためのコツも載せました。「べからず」は対岸の火事と感じても、実験のコツや実験を失敗する理由も載せると直接自分の損得にかかわるので、狙い通りテキストを良く読んでくれました。 3.次回の講義で改善しようと思っていること。 昨年は1-(3)に書いたように「事故を報告しなさい」としか言いませんでした。しかし、次回は、圓尾先生の報告([bef 1779]を参照)を参考に、ハインリッヒの法則についても教えて、ヒヤリハットの情報交換の重要性を教えようと思います。ハインリッヒの法則は、[bef 1779]の要約では省略しましたが、1 つの重大事故の影に、30 倍の軽度の事故と 300 倍のヒヤリハットがあるというもので、 http://www.tepco.co.jp/kk-np/visit/station/human03.html に飛行機事故を事例に非常に分かり易く解説されています。 ところで、ネットで「安全」をキーワードにして検索しても、外道ばかりでしたが、「ハインリッヒの法則」や「ヒヤリハット」をキーワードにすれば上記サイトの他に、 http://www.hypertown.ne.jp/medio/sympo/99/index.html 事故からみえる日本医療の現実 医療被害の予防と救済 (医療事故市民オンブズマン メディオ) http://www2s.biglobe.ne.jp/‾nishio/hiyari.html ヒヤリハットから派生した安全に対する一考察 http://www.hanabi.co.jp/hanabi.gyousya.jiko.htm 花火事故・ヒヤリハット など、参考になるものが出てきます。上記サイトのドメインからもわかるように、ネットを検索しても「ac.jp」はほとんど出てきません。大学でももっと安全教育に力を入れるべきですね。と言うか、大学が率先してやるべきことだと思います。 1. 起こった事例(イラストで分かりやすく) 2. 考えられる原因 3. 考えうる対策 実験室単位で配布、掲示され、特に、重大と考えられるものは事務長から各所属長を通じて口頭で伝えられました。起きた事故やヒヤリハットは、その場で注意するのも必要ですが、原因などをはっきりさせた上で、週に一度のゼミの前などで報告、注意するのが望ましいと考えます。口頭よりも紙に書いて分かりやすい形で掲示するのもいいと思います。 |